医療従事者の方へ
精神疾患レジストリとは
精神疾患レジストリ “マイレジストリ” とは
精神疾患レジストリ “マイレジストリ(Mental Illness Registry)” とは、精神疾患の幅広い診断カテゴリーにわたってデータを収集する大規模な患者レジストリです。精神疾患の病態解明、新たな診断法や治療法の開発の基盤となり、将来的に多くの患者さんや家族の社会参加、満足感の向上に貢献することを目指しています。
患者レジストリとは、「患者さんが何の疾患でどのような状態で存在しているかを集めたデータバンク」と定義されます。
現在、精神科領域では、問診から得られた情報に依存して診断が行われています。その結果、特定の診断カテゴリーに含まれる群に多様な病態が混在し、精神疾患の病因・病態研究は停滞しています。新たな診断法や治療法を開発するためには、様々な診断カテゴリーにまたがる症状の生物学的基盤を明らかにすることが必要です。そのためには、大規模な患者レジストリを構築する必要があります。
マイレジストリでは、精神疾患の患者さんの治療反応性や社会生活に影響を及ぼす臨床情報や生物学的指標を特定するために、臨床情報、生物学的基盤となる神経回路が比較的明らかとなっている精神症候、生体試料・情報(血液・髄液、脳神経画像、脳波、ポリソムノグラフィー、心電図、その他多様な生体情報)を収集し、縦断的な経過を追跡します。当事者の方々のニーズや医薬品などの研究開発を行っている企業のニーズにも応えうるレジストリを実現することを目指しています。
本研究事業は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構からの研究費によって運用されています。
登録の対象となる方
下記の条件を満たす方に、マイレジストリへのご登録をお願いしております。
- 精神疾患のある方
- 本研究に参加している医療機関を受療した方(診断、年齢、 性別は問いません)
- 主治医から本研究に参加しても問題ないと判断された方
- 本研究への参加について文書による同意が得られた方
研究参加の流れ
初回評価として、人口統計学的情報、診断、病歴、治療歴、既往症、処方などの基本的なカルテ情報を収集いたします。可能な場合は、気分症状、認知機能、睡眠、社会機能、QOLなどのより詳しい臨床情報を取得します。気分症状、睡眠、QOL については、患者さんご自身で入力するものと、認知機能、社会機能など、医師・評価者が評価結果を入力するものがあります。また、一部、スマートウォッチ「Fitbit Sense®」による生体モニタリング情報も収集します。通常の診療の範囲内で測定される脳波、ポリソムノグラフィー、 心電図の検査に加えて、可能な方には血液、髄液、脳神経画像などの検査をお願いし、 識別コードを用いて臨床情報と連結します。さらに、亡くなられた後の脳組織を研究に使わせていただける方には、ブレインバンクへの生前登録をお願いいたします。
一部の臨床情報については、スマートフォン、タブレット型端末、パソコンなどのアプリに患者さんに入力していただく方法やスマートウォッチ「Fitbit Sense®」から収集する方法で、初回評価から 6 ヶ月毎に縦断的な経過を追跡します。
なお、上記臨床情報や生体試料・情報は多岐にわたりますので、すべての項目を満たす必要はありません。受療している医療機関において実施可能であり、患者さんが提供することに同意してくださったデータのみを収集いたします。
費用と謝金
本研究事業で得られる臨床情報及び生体試料・情報は、通常の保険診療の中で得られるか、あるいは研究費を用いて得られるものであるため、患者さんにとって通常診療より経済的負担が増えることはありません。
なお、本研究事業に参加する際に、スマートフォン、 タブレット型端末、パソコンなどのアプリへの登録やスマートウォッチ「Fitbit Sense®」の装着が必要となりますので、その負担を軽減する目的で、1 回のみ Quo カード 1,000 円分を患者さんにお渡しします。